10月16日(水)から18日(金)にかけて、東日本大震災および福島第一原発事故の影響が今なお色濃く残る福島県浜通り地域にて、研修を行いました。復興に向かう地域の人々と風景に触れて、科学技術と社会の相互作用に対する考え方を問い直すこと、そして復興に向けた社会課題に取り組む職業に触れて、進路選択に対する視座を広げることが本研修の大きな目的です。
研修前半では、小学校卒業直前に被災した方の講話、津波被害の様子をそのまま残す浪江町立請戸小学校の見学、復興がまだまだだと感じさせるほど雑草の伸びた町を見渡せる大平山霊園などを見学しました。道中にガイドさんから、脇道に並ぶバリケードが帰還困難区域の入り口だという説明があると、草木の生い茂る道の向こう側を想像する様子が見られました。当時2歳であり、震災の記憶がほとんどない生徒たちですが、準備してきたフィールドノートに「見たこと・聞いたこと・感じたこと」を書き留めながら、13年前から現在に至るまでのフクシマに思いを巡らせている様子でした。
研修後半では、「先端工学」「医療・福祉」といった学問分野の名前を冠したコースに分かれ、「なぜ福島で行っているのか」「今取り組んでいる社会課題は何か」を知る職業見学を通して、自らの大学選択や職業選択に対する考えを深めていきました。そして頭も体も疲れ切った夕方、福島の今の課題を見いだして改善策を提案するワークショップに臨みました。2日間で残したフィールドノートのメモを見返して、自分なりに感じた復興に向けて取り組むべき課題を言葉で表現していました。
文理選択、個人課題研究を目前にする今、自分の興味は何か、自分の興味と取り組むべき社会課題の重なりはどこにあるのかを集中して考える3日間になりました。持ち帰ったフィールドノートのメモはきっと、一人ひとりの人生に役立つ、自分へのお土産となったことと思います。